鳥取大学農学部 Faculty of Agriculture, Tottori University

教員詳細

准教授

尾崎 弘一

Hiroichi OZAKI

所属
共同獣医学科
講座
病態獣医学
教育研究分野
獣医微生物学
主な担当科目
微生物学実習、生物統計学演習

研究の概要

微生物に力を借りて新たな共生関係を築く

私たちの周りには目に見えない「ミクロの住人」が数多く存在しています。特に疾病を起こす微生物は動物や人にとって厄介者です。微生物の中にはそんな厄介者を諫めてくれるものもいます。彼らのまだ見えない力を見出して「病原体を諫める仕組み」を解明し、その力を借りて、疾病の少ない「新たな微生物との共存関係」を構築することを目指しています。

微生物との新たな共生関係を模索する

微生物を一方的に排除するといった方法は正しいのでしょうか?
動物や私たちの周りにいる微生物の生活環を解明し、微生物の力を借りて病原微生物を制御する方法を模索しています。お互いが「そこそこ」のバランスをとって生き続けることが案外近道なのかもしれません。

主な研究テーマ

M13ファージを用いた病原菌制御系の開発

これまで細菌による感染症は抗生物質の発見によりコントロールされてきました。しかし近年その抗生物質に耐性を獲得した病原体の出現が確認されています。こうなると従来の抗生物質ではもはやコントロールすることが難しくなります。そこで細菌に特異的に感染するウイルスである「バクテリオファージ」を使って病原菌の死滅を誘発したり、外来遺伝子を運ばせるベクターとして活用する方法を開発しています。

薬剤耐性菌は菌体内で耐性因子を発現して薬剤を分解します。その耐性因子のmRNAに相補的なRNAの発現系をバクテリオファージを使って菌体内に導入すると、薬剤耐性菌を再び薬剤が効く「感受性菌」に変えることができます。

鶏飼養農場内に存在するバクテリオファージの持つ遺伝子資源の探索

バクテリオファージは地球上に最も多種類に渡り存在する微生物です。まだ見出されていない遺伝子資源としてとても魅力的です。特に病原細菌に特異的に感染して溶菌させるバクテリオファージは有用です。現在私たちは養鶏産業で問題となる病原細菌に感染するバクテリオファージを農場内で収集した材料から分離し、有用な遺伝子の探索を実施しています。そこから得られた遺伝子情報を活用する方法も模索しています。

鶏飼養農場の試料から鶏に病原性を持つ大腸菌に対して溶菌作用を持つバクテリオファージを分離しています。写真の丸く透明に抜けているところが細菌を溶菌した「溶菌斑」として観察されます。 

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