鳥取大学農学部 Faculty of Agriculture, Tottori University

教員詳細

准教授

富岡 幸子

Yukiko TOMIOKA

所属
共同獣医学科
講座
応用獣医学
教育研究分野
実験動物学
主な担当科目
実験動物学実習、生物学概論II

研究の概要

遺伝子改変マウスを用いて難治性疾患克服の鍵を探る

遺伝子改変により作出した疾患モデルマウスの解析を通じて、動物や人の病気の原因分子や抵抗性分子を探求しています。特に、獣医学領域でも増加傾向にある「腫瘍」の悪性化を制御する分子や、医学領域でも未解決な点の多い「神経変性疾患」や「不妊症」への関与が疑われる外因性あるいは内因性の分子に着目して研究を進めています。疾患モデルで得られた知見を動物や人の健康増進・疾病制御に繋げていきたいと考えています。

マウス受精卵へのDNA注入

遺伝子改変マウスの作出では、マウス受精卵(前核期胚)に特定遺伝子のDNAを注入する等の遺伝子改変操作を施します。

主な研究テーマ

シアル酸認識レクチンSiglec-9可溶型分子による抗腫瘍効果の検討

Siglecはシアル酸と結合する細胞表面タンパク質で、主に免疫系の細胞で発現しています。このうちSiglec-9は乳癌などの腫瘍で高頻度に発現するムチン類と相互作用して腫瘍の悪性化に働くことが知られています。一方、可溶型(分泌型)Siglec-9は細胞表面のSiglec-9とムチンとの相互作用を競合阻害して腫瘍の悪性化を抑制する可能性が推察されます。そこで、分泌型Siglec-9遺伝子導入マウスにムチン発現腫瘍を移植したところ、その増殖が抑制され、分泌型Siglec-9はマウスに抗腫瘍効果を付与することが明らかになりました。分泌型Siglec-9による抗腫瘍メカニズムや臨床応用の可能性について、研究を進めています。

遺伝子導入マウスで発現する分泌型Siglec-9は移植した乳癌細胞の表面を覆うように局在し、腫瘍の増殖が抑制されました(茶褐色は分泌型Siglec-9、左:遺伝子導入マウス、右:対照マウスに移植された腫瘍細胞)。

ヘルペスウイルス遺伝子導入マウスにおける神経病態の解析

神経向性ウイルスの病原性に関する研究の多くはウイルスの直接的な組織侵襲に関与するものです。一方、本研究テーマでは神経向性ウイルスの転写調節因子が宿主細胞の遺伝子発現を攪乱し間接的に病原性を発揮するメカニズムを解明するため、神経向性ヘルペスウイルスの転写調節因子を発現する遺伝子導入マウスの解析を行っています。その結果、ヘルペスウイルスの転写調節因子が神経細胞やグリアを変性させて小脳の形成異常・機能異常をもたらすことが明らかになり、ヘルペスウイルスによる病理発生機序に関する新しい知見を得ることができました。

ヘルペスウイルス転写調節因子を発現する遺伝子導入マウスでは小脳の形成異常が認められました(左:遺伝子導入マウス、右:対照マウスの小脳)。

遺伝子改変マウスを用いた不妊症・不育症の病態究明

ヘルペスウイルス感染と不妊症との関連は古くから指摘されていますが、依然として議論が分かれるところです。私達が解析を進めているヘルペスウイルス転写調節因子の遺伝子導入マウスでは精子の形成異常・機能異常が見られることから、このマウスの解析を通じてヘルペスウイルス感染と男性不妊症の関連性を示し、不妊症克服のための知見を拡充したいと考えています。その他にも生体のエネルギー代謝に関する酵素の遺伝子に変異を導入したマウスで見られる胎児死の病態解析を進めています。これら遺伝子改変マウスの解析を通じて、不妊症・不育症克服のための手がかりを掴みたいと考えています。

ヘルペスウイルス転写調節因子を発現する遺伝子導入マウスでは精子の形成異常が認められました。

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