鳥取大学農学部 Faculty of Agriculture, Tottori University

教員詳細

特命助教

天羽 隆男

Takao AMAHA

所属
附属動物医療センター
講座
臨床獣医学
教育研究分野
臨床獣医学
主な担当科目
プレクリニカル実習, 総合参加型臨床実習

研究の概要

獣医外科学を通して獣医療を発展させる

今日より明日、明日より明後日の獣医療をより良くするため、獣医外科学の発展を目指しています。獣医外科学を発展させるということは良い手術を行うことであり、そのためには手術技術を高めるだけではなく、手術前に的確な診断を行い、適切な周術期治療を行う事が非常に重要です。手術技術、術前診断技術、そして周術期治療技術を向上させ、より良い外科手術が出来る様になることを目指しています。

良い手術を行うための三要素と研究課題

外科手術をより良くするため、三要素のそれぞれの観点から研究を進めると共に、教育を行っている。

主な研究テーマ

サイトカインを知り術後合併症を制する

炎症は生体の恒常性維持に必要な防御機構ですが、時にその反応は過剰となり有害な反応へと変貌します。過剰な炎症反応の本質は高サイトカイン血症であり、高サイトカイン血症に着眼した治療戦略で術後の予後が良化すると考えられています。しかし獣医療では未だ十分な検討はなされておらずその詳細は不明です。そこで「イヌ・ネコでも手術で大きなサイトカインの変化が生じ、高サイトカイン血症を考慮した手術を行うことで予後が良化する」との仮説をたて、イヌでの周術期におけるサイトカインプロファイルを解析し、より効果的な治療戦略を構築し予後を良化することを目指しています。

「“判らない”を可視化する診断技術」を開発する

画像診断技術の進歩に伴い多くの病態を手術前に把握できるようになってきました。それでもまだ手術中の主観的評価や経験を基に術式を判断しなくてはならないこともあります。経験豊富な外科医の感覚ほど優れている物はないのですが、誰しもがその感覚を共有できて誰しもがエキスパートと同じ様に手術が出来る様になる事を目指しています。これまでの画像診断技術は組織の形態的特徴を捉えるのみでしたが、機能画像検査は血流や線維化等の生理学的特徴を評価することが出来ます。この技術を確立させることで、これまでは手術前に分からなかった臓器の変化を捉える事ができる様になり、適切な判断をより客観的に行える様にすることを目指しています。

造影超音波検査にて腎臓の評価を行っている。画像の変化を数学的に解析することで腎臓の血液灌流量を評価する事ができる。

より効率的でより効果的な獣医外科学教育を行う

より良い手術が広く行われる様になるためには良い手術教育が必要です。手術ができる様になるまでには様々な技術や知識の習得が必要であり、外科医は皆それらの向上のために日々努め鍛冶研磨しています。獣医療では人医療とは違い殆ど全ての臨床医がメスを握り手術を行い、学部教育だけではなく卒後もman to manでの手術教育を受けています。卒後に手術の中で手技を学んでいく事が手術教育の中で最も重要な部分を占めている事は紛れもない事実ではありますが、学部教育として手術学の確かな礎を築けるよう教育の質を高め、教育学として科学的根拠を作る事を目標としています。また昨今の働き方への変化に対応すべく、卒後教育の一助となることも目標としています。

CADで作成した不妊手術の講義で使用している犬の3D解剖モデル。実際には個々の端末で自由に回転・拡大を行う事ができる。この様な3Dモデルの他にVR手術動画や3Dプリンタを使用した手術教育の効果を検討している。

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