鳥取大学農学部 Faculty of Agriculture, Tottori University

教員詳細

准教授

兵頭 正浩

Masahiro HYODO

所属
生命環境農学科
担当教育コース
国際乾燥地農学
教育研究分野
施設環境材料学
主な担当科目
構造力学Ⅰ,国際乾燥地農学概論Ⅱ,国際乾燥地農学実験Ⅳ
研究に関連する高校教科

研究の概要

資源循環型社会に適合した農業用コンクリート施設の利活用

我々人類が豊かな生活を送るためには,自然環境の破壊を避けて通ることができません。この事実を受け入れたうえで,私の研究では農業用水利施設に多用されているコンクリート材料を対象とし,それらを長期間利用するための方法や,使い終わった後の利活用方法に関して研究をしています。

廃棄物の抑制と利活用

農業水利施設を健全な状態でできるだけ長く利用するためには,適切な機能診断評価および補修・補強対策が必要となります。これらの対策を施すことで,規定された従来以上の期間に渡って施設を供用することは,限られた資源の有効利用であるといえます。しかしながら,どのような対策を施したとしても,いずれはこれらの施設も寿命を迎えることになります。そのため,寿命を迎えた材料の再利用・再資源化方法を化学的特性と物理的特性の観点から検討しています。

主な研究テーマ

農業用水路(開水路,パイプライン)の機能診断評価

農業を営むためには水が必要になります。当たり前のように田んぼや畑に流れている水は,数多くの農業水利施設があるお陰で,必要な時期に必要な量が供給されています。この農業水利施設は,いずれ寿命を迎えるのですが,できるだけ長期間に渡って利用されることが望まれています。しかしながら,これらの農業水利施設がどのような状態なのか(まだ使えるのか,それとも修理が必要なのか)ということを正確に評価する方法が確立されていません。そのため,農業用開水路とパイプラインを対象として,剛性評価手法および機能診断指標に関する研究開発を行っています。

実現場を想定した実験を行うために,重機で大きな穴を掘り,様々なセンサーを取り付けたパイプラインを敷設している様子

農業用コンクリート開水路の内部に析出する化学成分の特定

農業用コンクリート開水路は,雨,風,日射など自然環境条件のもとで40年以上もの間,ただただ農業用水を流すことを目的に使用されています。そのため,コンクリートはとても固く(強く)なければなりません。コンクリートが固まるのは,コンクリート内のセメントに含まれるカルシウム,珪素,アルミニウム,鉄などの元素が水と接するとセメント水和物という結晶が化学反応によって生成するためです。長期間に渡って供用されること,ひたすら農業用水を流し続けるということから,コンクリート内部の化学成分の平衡に偏りが生じて,農業用コンクリート開水路特有の結晶物析出メカニズムについて解明をしています。

中性化が進行したコンクリート内部におけるエトリンガイトの主要構成元素であるCa元素,S元素,Al元素がスポット的に濃縮した箇所(赤色呈色部)

植物を配合したコンクリートの水和反応特性

抽水植物であるヨシは,水域内の栄養塩類を生長過程で吸収・同化し,水質を浄化する作用を持つといわれています。しかしながら,成長したヨシの刈取りがされなければ,吸収した栄養塩類は水域内に回帰するため,水質浄化機能が適切に発揮しないといった問題が報告されています。そこで,ヨシの無機・有機化学成分に着目し,コンクリート用混和剤(材)としての利用性について検討をしています。ヨシの有機化学成分として含有されるフェノール類はコンクリートの施工性を向上させる成分であり,無機化学成分として含有されるシリカはコンクリートの長期強度を発現させる成分となっています。そのため,これらの有機・無機化学成分を適切に活用することで,従来は廃棄物として処分されている植物が機能性材料として活用と持続的な水質浄化システムの構築を目指しています。

燃焼したヨシに含まれるシリカ成分がポゾラン材として利用できるかをXRDで評価

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