鳥取大学農学部 Faculty of Agriculture, Tottori University

教員詳細

教授

渡邉 文雄

Fumio WATANABE

所属
生命環境農学科
担当教育コース
農芸化学
教育研究分野
食品科学
主な担当科目
食品科学,栄養科学
研究に関連する高校教科

研究の概要

食品の特性を解明し、ヒトの健康維持・増進に貢献する。

ヒトは食品を摂取することで生命を維持していますが、食品は単に栄養素の補給に留まらず、食品が本来持っている嗜好成分を活用することで豊かな食生活を営み、食文化にまで発展しています。少子高齢化の我が国においては、疾病の予防の観点から食品に含まれる栄養素や機能性成分の機能を解明し、積極的に健康維持・増進に活用しようとする社会的ニーズもあり、食品成分の基礎研究から実用化に向けた応用研究に取り組んでいます。

教育・研究方針

食品に含まれる栄養素や疾病予防因子などの生理活性物質を分析・定量し、培養細胞やモデル動物などを用いて生化学的手法や分子生物学的手法を用いて機能性を評価する。

主な研究テーマ

精密分析による擬似ビタミンの探索と生体に及ぼす影響の解明

ビタミンB12(B12)の欠乏は神経障害や運動機能障害を引き起こします。特に、我が国では高齢者でB12欠乏症の発症が危惧されています。これまでの研究過程で、食用藻類などある種の食品にヒトに対して生理活性を有しない擬似B12(B12構造アナログ)が存在することを精密質量分析法により明らかにしてきました。今後もB12の供給源である魚介類や動物性食品に擬似B12が含まれていないかどうかを検討してきます。

1 ビタミンB12,2 擬似ビタミンB12

ビタミンの摂取不足ならびに過剰摂取による代謝異常症の解析

超高齢社会の我が国において「食と健康」に対する関心がこれまで以上に高まっています。中高齢者の心疾患の危険因子として知られているホモシステインの代謝に関与する葉酸とビタミンB12(B12)の代謝異常の研究に取り組んでいます。胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを低減させるため、諸外国では穀類に非栄養量(多量)の合成葉酸(酸化型葉酸)が添加されています。しかし、慢性的な多量の合成葉酸の摂取が生体に及ぼす影響は十分に検討されていません。そこで、モデル動物のCaenorhabditis elegansを用いて合成葉酸の慢性的な多量摂取が生体に及ぼす影響や葉酸代謝と関連が深いB12の欠乏と神経障害や運動機能障害との関連性について検討しています。

ビタミンB12や葉酸の摂取不足や多量の合成葉酸のサプリメントを摂取することにより、生体内でメチオニン・葉酸代謝系が阻害され、プロオキシダントのホモシステインが蓄積します。蓄積したホモシステインが酸化される過程で発生する活性酸素種により多種類の機能障害を生じます。

未利用食品資源の利活用に関する研究

地域の未利用食品資源の利活用の研究課題として、規格外二十世紀梨やラッキョウなどから美白化粧品素材として利用可能なチロシナーゼ阻害物質や高血圧症に対処するために血圧上昇抑制物質を探索し、有効成分を単離・精製し、機器分析により有効成分の構造を決定したり、培養細胞を用いて有効性を検討しています。また、野菜や果物など植物性食品にはビタミンB12が含まれていないことから、機能性野菜の開発を目指して、ビタミンB12の強化レタスやトマトなどの開発を検討しています。

1 規格外二十世紀梨,2 果汁加熱濃縮物,3 単離・構造決定したチロシナーゼ阻害物質(美白化粧品素材)

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