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学位論文概要(日本語)

農道コンクリートボックスカルバート壁体の温度ひびわれ防止に関する研究

 本研究は,これまで温度ひびわれに対する検討,対策が稀であった農道コンクリートボックスカルバート壁体を対象に,温度ひびわれの直接の原因となるコンクリート内部発生温度と温度応力を三次元有限要素法で精度よく解析するための研究を行い,この推定結果に立脚した温度ひびわれ防止方法を確立することを目的にしている。そこでまず,三次元有限要素法でコンクリート内部発生温度と温度応力を解析するためのプログラムを FORTRAN言語により作成した。この解析方法の妥当性は,解析値と計測して得た実測値を比較することで評価した。また,解析に用いる入力パラメータについても,二,三の考察を行った。一方,ボックスカルバート両端面をシートで締切り,その閉鎖空間の中で練炭を燃焼し,ボックスカルバート内部気温を外部気温より高くすることで,温度ひびわれを防止する方法を考案した。この方法の有効性は,実物の農道コンクリートボックスカルバートに適用して検証した。また,考案した温度ひびわれ防止養生方法の簡易的システム化も行った。

 本研究によって得られた主な研究成果の概要は,次のように要約される。

  1. 構造物寸法が増加するほど,三次元非定常熱伝導有限要素解析結果は実測値より小さくなる。この解析値が実測値より小さくなる原因は,入力パラメータの一つである断熱温度上昇定数の影響であると考えられる。
  2. 構造物の寸法・形状は,コンクリート内部温度履歴に大きく影響を与える。そこで,壁状,ベースマット状のような外気温の影響を受けやすい部材では,一次元温度解析ではなく,三次元温度解析を行う必要がある。
  3. Galerkin法に基づく三次元非定常熱伝導有限要素解析結果は,実物の農道コンクリートボックスカルバート壁体内部で計測した実測の温度とよく近似した。
  4. 実物の農道コンクリートボックスカルバート壁体内部の熱膨張係数は,温度上昇域と温度下降域,また,温度上昇域中に温度上昇の傾向が変わる点がある場合には,この点を境として分けられる。
  5. 三次元有限要素温度応力解析結果は,実物の農道コンクリートボックスカルバート壁体内部で計測した実測の温度応力とよく近似した。このとき,弾性係数を材令の関数として推定した場合は,積算温度の関数として推定した場合に比べて,温度応力の解析値は小さくなる。
  6. 考案した温度ひびわれ防止養生方法は,三次元非定常熱伝導有限要素解析結果と実物の農道コンクリートボックスカルバートへの適用結果から,温度ひびわれ防止養生方法として有効である。
  7. 温度ひびわれ防止養生方法の簡易的システム化を行い,R=V/84(R:温度ひびわれ防止養生初日の挿入練炭個数,V:ボックスカルバートの内部空間容量)という実験式を提案した。この提案した実験式を用いることで,温度ひびわれ防止養生方法に用いる練炭の適切な燃焼個数の把握が可能である。