鳥取大学農学部 Faculty of Agriculture, Tottori University

教員詳細

教授

菱沼 貢

Mitsugu HISHINUMA

所属
共同獣医学科
講座
臨床獣医学
教育研究分野
獣医繁殖学
主な担当科目
臨床繁殖学,畜産学

研究の概要

動物の生殖機構の解明、繁殖機能検査と遺伝資源の保存に貢献する

産業動物、伴侶動物、実験動物および野生動物を対象として、体外受精、精子の運動性解析、精子・卵子・胚の低温保存、卵胞発育等を研究しています。牛精子の運動性解析結果と人工授精/体外受精成績の関係を調査し、繁殖成績の予測・向上を目指します。犬精子の運動性解析の結果から、臨床検査としての精子検査方法を確立し、精子の保存成績の向上を目指します。

研究のコンセプトと概要

哺乳動物の生殖機構の解明、繁殖機能検査法の確立および遺伝資源の保存について、各種動物を対象としてこれまで行ってきた研究の一覧です。現在行なっている哺乳動物の生殖工学に関する研究部分を赤字で示しています。

主な研究テーマ

哺乳動物の生殖工学に関する研究:牛精子の運動性と受胎成績の関係の解明

近年、精子の運動性検査を客観的に行う方法として、精子運動自動解析(CASA)が開発され、顕微鏡にステージ加温装置、ビデオ撮影装置とコンピュータが接続された機器が利用されています。測定の原理としては、まず精子の動きをビデオ撮影し、次に撮影画像で精子の頭部を認識して、頭部が1秒間に動く軌跡を分析します。多数の精子の動きを同時に分析し、基本的に「測定した全運動精子の平均値」として移動速度、運動の直線性や精子頭部の揺れを表示します。さらに、多変量解析により「どのような運動性を示す精子が多いのか」、すなわち運動精子のサブポピュレーションを分析します。私たちの研究室では、牛精子の運動性解析結果と人工授精/体外受精成績の関係を調査しています。

精子の運動様式をPCで解析する時の各精子の軌跡です。精子が頭部を振りながらジグザクに直進あるいは旋回運動していることが分かります。軌跡が示されていない精子は、動いていない精子です。

哺乳動物の生殖工学に関する研究:犬精子の運動性解析と保存法の開発

小動物臨床の現場では、雄犬の生殖能力検査として精子の運動性が検査されています。しかし、従来の検査法は顕微鏡観察による主観的なものであるため、ヒトや産業動物と同様に客観的な検査の実施が必要です。犬の射出精子は雌の生殖道(子宮・卵管)内で1週間ほど受精能力を保持すると言われています。近年、犬の凍結保存精液を使用した人工授精が実施されるようになり、融解後の精子の運動性が著しく低下することが報告されています。そのため、犬精子についても精子運動自動解析(CASA)および多変量解析により精子運動を分析する必要が生じました。私たちの研究室では、犬精子の運動性解析の結果から、臨床検査としての精子検査方法を確立し、精子の保存成績の向上を目指しています。

犬の体内受精卵(胚盤胞期)です。犬精子の検査・保存法が向上し、さらに体外受精技術が発展することにより、このような受精卵を作成して将来的に産子を得ることが目標です。

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