研究テーマ

遺伝資源多様性研究部門

遠藤直樹 助教
  • 菌類きのこ遺伝資源の収集・分類および種多様性解析
  • 有用形質や突然変異に関わる遺伝子の探索
  • 遺伝子情報を利用した分子育種法に関する研究
9万7千種 以上の菌類が世界各地から報告されていますが、この種数は現存すると推定されている種数の7%に過ぎません。大型の子実体を形成するきのこ類でさえ、まだ半数も知られていないのが現状です。本部門ではハラタケ類やヒダナシタケ類などのきのこを中心とした菌類の分類学的研究および種多様性解析を行うとともに、遺伝資源としてのきのこ類菌株の収集を行っています。また、きのこ類遺伝資源がもつ様々な有用形質や突然変異の有為な多目的活用を目指し、それらに関わる遺伝子を探索・解析しています。さらに、その遺伝子情報を用いて、有益なきのこ品種の育成を効率的に進めるための分子育種法の研究をしています。

遺伝資源評価保存研究部門

中桐 昭 教授・早乙女 梢 准教授
  • 遺伝資源株の分離培養保存に関する研究
  • ゲノム情報に基づく遺伝資源株の分類同定に関する研究
  • 高品質遺伝資源のデータベース構築と系統分類的研究
様々な地域・基質に生息する多種多様な菌類きのこ遺伝資源を分離、培養、保存するための基礎研究を行っています。さらに、収集した多様な遺伝資源株について生理的諸性質、培養特性の調査および遺伝子情報の集積を行い、種々の情報を付加した高品質遺伝資源株の保存とデータベースの構築に取り組んでいます。また、菌類きのこの同定には特殊な専門的知識・経験が必要であり、分類学の専門研究者以外にとって正確な同定はかなり困難です。そこで、より多くの分類群について集積した遺伝子情報を活用し、従来の形態形質に基づく同定法に代わる方法として、形態情報と遺伝子情報を統合した簡便で高精度な分類同定システムの開発を目指しています。

有用きのこ生産研究部門

霜村典宏 教授・會見忠則 教授
  • 各種穀物残渣の有効利用に関する研究
  • 有用菌株の育種に関する研究
  • 共生系を利用した菌根菌の人工栽培に関する研究
本部門では、多種多様な有用きのこ類の子実体を人工栽培することで、きのこ類遺伝資源の付加価値を高める研究を行っています。菌床栽培において、様々な穀物残渣や木質などの栽培基質を用いて効率よく子実体が発生する菌種・菌株の選抜、栽培基質の改変による子実体の栄養価や機能性成分含量の向上などの研究を行っています。また、今日まで人工栽培ができなかった樹木と共生する菌根性きのこ類においては、人工的に共生関係を構築させて子実体を生産する研究にも取り組んでいます。これらの研究は有用きのこ子実体の安定供給を可能とし、新規医薬品開発などのきのこ類遺伝資源の高度利用に繋げていきます。

新機能開発研究部門

(兼)太田利男 教授・(兼)北村直樹 准教授・(兼)高橋賢次 准教授
  • 菌類きのこの毒成分などの生理活性及び薬効薬理学的研究
  • 新規機能性物質の探索に関する研究
  • 機能性成分の作用メカニズムに関する研究
地球上には数万種の菌類きのこが存在していますが、機能性に関する研究が行われているものは全体の数パーセントです。つまり、菌類きのこは機能性物質や医薬品として未開拓な有用資源と言えます。ベニテングダケに含まれるムスカリンやムシモールも「くすり」として用いられている有用な毒成分です。本部門は、当センターが保有する菌類きのこ由来の化学物質の微生物や動植物に対する生理活性の評価と新たな機能性成分を見出す研究部門として、平成25年度より組織されました。菌類きのこの毒成分などに着目し、医薬品あるいは機能性物質としての有用性、更にその作用メカニズムを細胞生理学、薬理学の視点から探索し、「くすり」のためのシーズとなる研究、併せてそれらの有用性エビデンスに関する研究を行います。

物質活用研究部門

(兼)渡辺文雄 教授・(兼)一柳 剛 教授・(兼)石原 亨 教授・(兼)大﨑 久美子 講師
  • きのこに含まれるビタミンに関する研究
  • 植物病原糸状菌と植物の相互作用に関与する化学物質の研究
  • 毒きのこ由来新規生物活性物質の探索
  • きのこ由来生理活性物質を利用した作物病害防除技術の開発
本研究部門では、多種多様な菌類きのこに含まれる生理活性物質(毒物を含む)の機能性食品、医薬品や農薬への有効活用を目的として、菌類きのこの子実体や菌糸体ならびに培養液から生理活性物質を抽出・精製し、その化学構造を核磁気共鳴装置や質量分析装置などの機器分析により解析しています。また、これら生理活性物質の迅速分析方法の開発や、より安全で効力の高い、産業利用可能な化合物の調製法の開発も行うことにより、幅広い分野での利活用に繋げていきます。