現在の研究テーマと内容


研究概要


1. アドレナリンおよびイミダゾリン受容体の基礎と臨床
アドレナリン受容体およびイミダゾリン受容体は生体に広く存在し、生理学的および薬理学的に極めて重要な機能を持っています。本研究では特にα2-アドレナリン受容体作用薬およびそれと関連の深い新規イミダゾリン受容体作用薬の作用機序、臨床学的有用性、さらにそれら受容体変化と病気との関連を明らかにしようとしています。

2. 動物の遺伝性疾患の発症機構、病態および治療に関する研究
動物の遺伝性疾患の中でも原因が明らかでなく、難治疾患の1つとされていますイヌの心筋症、てんかん、高脂血症に注目し、それらの発症機構と病態を明らかにしようとしています。また、これらの疾患に有効な治療方法および治療薬を探しています。

3. アトピー性皮膚炎の病態と治療に関する研究
慢性難治のアレルギー性疾患で、環境因子を含め問題となっていますイヌのアトピー性皮膚炎の病態を解明しようとしています。また、その根治療法を目的として新規生物学的製剤を用いた新しい免疫療法の有効性について検討しています。

教育および研究の方針


生体には未だその機能の解明されていない生体内生理活性物質および受容体が数多く存在します。現在研究に取り組んでいる新規イミダゾリン受容体はその1つであり、将来はこのような未知の物質や受容体の役割を明らかにし、獣医臨床を基盤にした新しい臨床診断および治療に応用していきたいと考えています。また、動物の難治性疾患や遺伝性疾患の発症機構の解明と病態解析に積極的に取り組み、その病気の診断、治療および予防法の確立を目指していきたいと思います。このような研究を動物臨床医学には勿論のこと、ヒト医学にも役立てることにより、動物と人間の福祉に貢献していきたいと考えています。一方、獣医学の研究分野は近年ますます多様化を迎え、情報化社会が急速に進展する中で、常に国際的な視点にたって研究を遂行し、最新の知見を積極的に取り入れていくことで、その研究と情報を基盤にして国際的に活躍できる獣医師および研究者を養成していくよう努めています。