博士卒業論文概要

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時系列解析における季節変動と循環変動の
抽出方法に関する研究


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    目    次               

序 章(〜時系列解析の歴史および本論文の構成〜) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

第1章 最近の市場動向および分析用データの準備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9

 第1節 生鮮食料品の供給・需要・流通構造の変遷 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
  第1項 生産・供給面の変化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
  第2項 需要面の変化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
  第3項 卸売市場・小売市場の変化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

 第2節 データの準備と分析手順 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
  第1項 データの整理と欠落値の補欠 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
  第2項 分散分析によるデータ季節性・傾向性有無の検出 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
  第3項 本論文における時系列解析の手順 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24

第2章 これまでの時系列分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27

 第1節 季節変動調整法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27
  第1項 固定型季節性指数の抽出法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28
  第2項 可変型季節性指数調整法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31

 第2節 傾向変動抽出法の検討 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33
  第1項 移動平均法による傾向線 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34
  第2項 最小二乗法による回帰曲線 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35
  第3項 修正指数曲線,ロジスチック曲線,ゴンベルツ曲線の考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 37
  第4項 生鮮食料品時系列データの傾向変動特性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39

 第3節 循環変動と不規則変動の抽出法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40
  第1項 自己相関係数,周期解析強度による周期解析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40
  第2項 パワー・スペクトル解析による周期確定へのアプローチ ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43
  第3項 フーリエ級数に基づく循環変動の抽出 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 48
  第4項 不規則変動の抽出及びその性質 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49

第3章 実質価格及び名目価格それぞれによる時系列分析の適合性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52

 第1節 卸売物価指数と消費者物価指数の特質 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52
  第1項 物価指数の基準年統一及び欠落値の補欠 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53
  第2項 物価指数の傾向性と季節性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54

 第2節 実質価格,名目価格それぞれにおける時系列解析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55
  第1項 分散分析による実質価格,名目価格の変動比較 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55
  第2項 実質価格,名目価格の品目別季節変動比較 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 57
  第3項 傾向変動の分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 58
  第4項 循環変動の検討 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 60

第4章 可変型季節性指数抽出法 ― 連環比率移動法の開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 64

 第1節 連環比率移動法による可変型季節性指数の抽出方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 65
  第1項 計算方法,移動期間の決定及び欠落値の補欠 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 66
  第2項 連環比率移動法による可変型季節性指数抽出法の計算例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 71

 第2節 連環比率移動法による可変型季節性指数の有意性検討 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 76
  第1項 連環比率移動法による可変型季節性指数の分散分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 77
  第2項 EPA法,連環比率移動法それぞれによる可変型季節性指数の比較 ・・・・・・・・・・・・・・ 78

 第3節 固定型,可変型季節性指数それぞれの時系列定常化による循環変動
     及び不規則変動への影響 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80
  第1項 異なる季節性指数抽出法による循環変動への影響 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80
  第2項 固定型,可変型季節性指数抽出法それぞれによる不規則変動の差異性 ・・・・・・・・・・・ 82

 第4節 連環比率移動法の原理を移動平均法,月別平均法への適用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 83
  第1項 5年区間系列の移動平均法による可変型季節性指数の算出方法 ・・・・・・・・・・・・・・ 84
  第2項 5年区間系列の月別平均法による可変型季節性指数の算出方法 ・・・・・・・・・・・・・・ 89

第5章 連環比率移動法とEPA法の可変型季節性指数のモンテカルロ・
    シミュレーションによる比較
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 96

 第1節 生鮮食料品不規則変動の特徴及びコンピューター乱数 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 97
  第1項 生鮮食料品時系列データから抽出した不規則変動の分布規則 ・・・・・・・・・・・・・・・ 97
  第2項 コンピューターによる乱数の発生及び検定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 98

 第2節 モンテカルロ・シミュレーション実験及び結果の考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 100
  第1項 可変型季節性指数の分散分析による季節性判定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 100
  第2項 共分散分析によるEPA法,連環比率移動法の差異性の検出 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 102
  第3項 モンテカルロ・シミュレーションの結果と真の値との平均差 ・・・・・・・・・・・・・・・ 102

第6章 周期・振幅を時間の関数とする可変型循環変動抽出法の開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 106

 第1節 可変型循環変動の抽出方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 107

 第2節 サンプル系列による固定型・可変型循環変動の検討 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 113
  第1項 可変型循環変動分析用サンプル系列の作り方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 114
  第2項 サンプル系列による可変型循環変動抽出法の検討 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 114

 第3節 鳥取市鶏卵小売価格データによる可変型循環変動の計測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 116
  第1項 傾向変動,季節変動の算出及び時系列定常化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 117
  第2項 一括定常化と区間定常化による可変型循環変動の差異性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 118
  第3項 周期・振幅を時間の関数式とする循環変動の算出 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 119
  第4項 近年における鶏卵循環変動の可変性に関する分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 122

第7章 青果物市場時系列変動の特質 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 126

 第1節 青果物季節変動の特質と近年の変化動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 126
  第1項 青果物季節変動の特徴及び生成要素 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 127
  第2項 近年における青果物季節変動の変化傾向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 129
  第3項 地方卸売市場,中央卸売市場における青果物季節変動の関連性 ・・・・・・・・・・・・・・ 131

 第2節 近年における青果物傾向変動の変化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 132

 第3節 青果物循環変動の特徴 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 133

第8章 畜産物の時系列分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 137

 第1節 畜産物の傾向性と季節性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 137
  第1項 傾向変動分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 138
  第2項 季節変動分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 140

 第2節 近年における牛肉の循環変動分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 141
  第1項 周期解析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 142
  第2項 周期変動の経済分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 144

結 章(〜まとめ及び謝辞〜) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 149

付 表 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 153
付 図 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 160
分析データの出所 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 162
参考文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 163

日本語概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 166
中国語概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 170
English Summary  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 173
学会誌掲載論文リスト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 177

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  時系列解析における季節変動と循環変動の抽出方法に関する研究

(要   旨)

万   里

 論文では新しい可変型季節性指数と可変型循環変動の解析方法の研究開発,及び生鮮食料品市場データの時系列解析に重点をおき,いままでの時系列解析方法を整理した上で,可変型季節性指数の抽出法及び周期・振幅ともに時間tの関数とする可変型循環変動の抽出方法を研究開発したものである。また,青果物及び畜産物時系列の変動特徴を分析検討したものである。
 1章では,最近の市場流通変貌をまとめた。生鮮食料品の卸売市場外流通数量が年々と増加したことにより,販売価格の不透明化,農協の合併等による出荷団体の拡大と卸売市場供給者数の減少,スーパーマーケット等量販店の普及による小売業者の大型化等,これらの変化は市場価格に対する影響を検討考察した。また,生鮮食料品の流通特徴,いわゆる価格の不安定性と非弾力性について説明した。また,分散分析の手法により,本論文で取り扱うデータ系列の分散分析を行い,季節変動,傾向・循環変動の有無を検出した。さらに,本論文独自の方法によるデータ欠落値の補欠方法を説明し,時系列に含まれている4つの変動要素,つまり季節変動,傾向変動,循環変動,不規則変動を定義し,分析手順を設定した。
 2章では,これまでの時系列解析方法を整理した。季節変動では,固定型季節性指数,可変型季節性指数それぞれの算出方法を説明し,生鮮食料品時系列の季節変動算出に適する計算方法を検討した。傾向変動の算出方法はさまざまあるが,本論文では移動平均傾向線,最小二乗法による回帰曲線,修正指数曲線,ゴンペルツ曲線,ロジスチック曲線を中心に比較検討を行い,その特徴と問題点をまとめた。また,生鮮食料品市場情報時系列の解析に最も適する傾向変動の抽出方法は回帰推定曲線であることを解明した。循環変動の抽出法について,周期解析では自己相関係数,周期解析強度,パワー・スペクトル解析の計算方法を説明し,フーリエ級数に基づく三角関数による循環変動の抽出方法を中心に説明した。パワー・スペクトル解析法については,ラグ・ウィンドーの打切り数によるスペクトル周期検出の分解能についてウィンドー・クロージングの方法を利用し,与えるウィンドーの大きさを検討した。
 3章では,実質価格,名目価格それぞれにおける時系列解析の適合性を分析検討した。一般的に統計調査資料に記入されている価格データは市場取引数値(代表値)であり,いわゆる名目価格である。しかし,物価・賃金,経済状況,消費者嗜好等諸条件は長期にわたって変化しており,これらの変化は時系列データに影響を与えるであろう。市場価格データの時系列解析の場合,物価指数でのデフレートによる実質価格と市場調査による名目価格のそれぞれにより,季節変動,傾向変動,循環変動の抽出にどのような影響が与えるかを分析した。結果としては物価指数は社会全体の経済変化に従う季節変動,傾向・循環変動が内包されている。各々の生鮮食料品目は独自の生産,流通,消費等経済特性を持ち,これを物価指数でのデフレートにより,個別生鮮食料品目データ系列に従来のない変動要素がつき加えられることとなり,時系列解析の結果にはその品目の変動特徴が真実に反映できなくなる恐れがある。つまり,生鮮食料品の価格データ系列による時系列解析の場合,名目価格を使うべきであることが判明した。
 4章では,新しい可変型季節性指数抽出法を研究開発し,その実用性を分析検討した。従来の可変型季節性指数抽出法であるEPA法,センサス局法等を勉学し,問題点を指摘した上,より計算簡便な新しい可変型季節性指数抽出法を研究開発した。新しく開発した可変型季節性指数抽出法を連環比率移動法(Link Relative Moving method:LRM法)と呼ぶこととした。連環比率移動法により可変型季節性指数を抽出し,分散分析の手法を利用し,傾向・循環変動及び不規則変動の除去効果を分析し,結果は良好であることが判明した。また,共分散分析の手法によりEPA法の可変型季節性指数との差異性を分析し,統計学的に差を認めることができない結果が判明した。さらに連環比率法による固定型季節性指数,EPA法,開発した連環比率移動法それぞれによる可変型季節性指数の時系列定常化により,算出した循環変動および不規則変動にどのような影響があるかについて分析比較し,異なる季節性指数抽出法は循環変動及び不規則変動解析に与える影響を検討した。連環比率移動法の可変型季節性指数により定常化した系列では,不規則変動の振幅が小さい結果となり,これは連環比率移動法の可変型季節性指数を用いた解析では,不規則変動の一部分が可変型季節性指数,循環変動に吸収され,連環比率移動法の可変型季節性指数にはより多くの原系列の情報を持っていることをいえるであろう。連環比率移動法を可変型季節性指数抽出法としてよい方法であることが判明した。
 5章では,モンテカルロ・シミュレーションにより,開発した連環比率移動法の季節性指数抽出の安定性を検討した。ここではまず生鮮食料品時系列の不規則変動の特性を分析し,コンピュータによる一様乱数の一様性をカイ二乗法により検定し,ボックス・ミュラー法により生成した正規乱数を不規則変動とした。次に人工的に分析系列を合成し,EPA法,連環比率移動法のそれぞれに適用して可変型季節性指数を抽出した。系列合成から可変型季節性指数を抽出するまで10,000回を実行し,両方法それぞれの可変型季節性指数抽出に対する安定性を検討した。また,シミュレーションの結果である可変型季節性指数に対し,分散分析及びF検定により季節性の有意性を検討した。さらに,系列合成時に用いた真の季節性指数とシミュレーション結果との平均差により,EPA法,連環比率移動法それぞれの可変型季節性指数に対する抽出力を検討した。その結果,連環比率移動法のシミュレーション結果値と真の値との平均差はEPA法のそれよりやや小さい。連環比率移動法を可変型季節性指数抽出法として計算方法簡便の上,季節性指数抽出に安定し,十分実用性があるといえよう。
 6章では,周期・振幅ともに時間tの関数とする可変型循環変動の抽出法を研究開発した。従来のフーリエ級数での三角関数式による循環変動は周期,振幅が長年にわたって不変と仮定するものが多い。しかし,長期的にみれば生産条件,経済政策,消費者嗜好等要素の変化により,循環変動の周期,振幅が不変であると想定しにくい。可変型循環変動の抽出法に関する研究が少ない中で,周期,振幅は時間tの関数であることを考案し,計算区間による循環変動の平均値により,全計測期間の可変型循環変動を算出する方法を考察した。また,可変周期,可変振幅の回帰解析により,時間tの関数式を求め,これをフーリエ級数に代入することにより,周期・振幅をともに時間tの関数とする可変型循環変動を算出したものである。算出した可変型循環変動と定常系列との偏差により有意性を検討した。結果として,可変型循環変動と定常系列との偏差は固定型循環変動と定常系列との偏差より小さい。これは可変型循環変動は固定型循環変動より原系列の変動要素がより多く吸収されていることによるものであろう。経済時系列の循環変動解析には可変型循環変動を算出すべきであろう。
 7章では,青果物時系列の季節変動を中心に,数量変動,価格変動の特徴及び市場間の関連性を分析した。青果物季節変動の起因は四季に大きく影響される年間を周期とする生産特性によるものであり,加えて需要の価格弾力性が低く,市場取引には鮮度が要求され,長期貯蔵に要する費用が高い等ことから,季節変動幅が大きいことがよく知られている。また,長期的にみれば経済の成長とともに価格が上昇傾向にあるだろう。近年の経済不況は青果物価格変動にどのような影響をもたらしたかを分析した。循環変動の分析では,一部分の青果物品目には循環変動が存在していることを確認した上,その循環周期を検出した。さらに,地方卸売市場と中央卸売市場の青果物価格変動を比較し,その特徴を分析整理した。
 8章では,畜産物の生産量,卸売価格,小売価格データ系列により,近年における畜産物時系列の季節変動,傾向変動,循環変動の特徴を解明し,原因を分析した。季節変動について,連環比率法により固定型季節性指数を抽出し,生産量及び卸売価格,小売価格の月別変化を分析した。また,長期的にみらば季節変動の変化パターンは可変的である観点から,連環比率移動法により可変型季節性指数を抽出し,分析検討した。結果として,成牛枝肉では年末・年初には生産量が多いことにもかかわらず,卸売価格が高い。豚枝肉は牛肉の代替財であり,4月から9月にかけて卸売価格が高いことを解明した。可変型季節性指数をみてみると,1990年から畜産物卸売価格の季節変動振幅が大きくなり,年末・年初の需要量は一層大きくなってきたことを物語っている。傾向変動の解析には最小二乗法による回帰推定曲線を適用し,長期的には2次回帰推定曲線の当てはまりがよく,1970年代のオイルショック及び近年の経済不況が大きな原因であることが判明した。循環変動では牛肉を中心として分析を進めた。近年の牛肉循環変動の周期が変調していると指摘されているが,ここではSchusterのペリオドグラム,パワー・スペクトルにより具体的な周期期間を検出し,乳用肥育おす牛枝肉は成牛枝肉全般の周期変動に与える影響が大きいことを解明した。
 論文の解析には,EPA法による可変型季節性指数の抽出に「マイクロAGNESS」ソフトウェアを参照利用した以外,開発した新しい可変型季節性指数抽出方法の連環比率移動法及び考案した周期・振幅をともに時間の関数とする可変型循環変動の算出方法を含む解析全般は,
独自にN88BASICのパソコン言語により作成したソフトウェアを利用した。

万  里

1999年2月26日


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