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Mr. Cherif Ould AHMED(モーリタニア)

 多くの開発国において、水不足のため灌漑面積に制限を受けている一方で、雨季にはその貴重な水が海に流出している。
 水消費量は都市化、工業・農業の拡大とともに増加し、水源を同じくする水利用途の獲得競争が激しさを増している。
 開発国の多くにおいてその最大の産業である農業が今、困難な状況にある。その結果として、開発国で増加し続ける人口に食糧を供給するための農業生産能力が落ち込んでいる。現在そして未来の食糧需要を満たすための一つの道として、水資源の開発と得た水の有効利用を図ることが挙げられる。

 [障害に対処するための対策]
・ 体系的な帯水層の流体力学に基づいた調査(ピエゾ計測、循環速度、流入)
・ 新しい帯水層の存在の調査−特に地溝帯に重点を置いて調べる
・ 地表水による帯水層の人工的な再注入についての調査−主に沖積層、小規模の表面ダムまたはダムの下層
・ 近代的な脱塩技術を利用して、塩水の脱塩を実施する(しかしこれは非常に高価である)

 [モーリタニアにおける水資源開発上の問題および障害]
 地方・環境省水資源部は国民生活の改善および環境保護のために、農業活動をより拡大し、農業セクターを強化する政策を選択し、この目標に照らして不利な地域に対し、水資源へのアクセスを優先させることを謳った。上記の省による調査の結果、水に関連する多くの問題および障害が確認された。

 〔本コースで得た経験〕
 本コースを通して下記のことを学んだ。本コースは、私にとって非常に有益であった。
・ 人間社会に対する教育の意義、日本の経済について知った。そして言葉を学んだ。
・ 水の再利用の方法、農業における水の利用方法、大規模な上水処理施設も見学した。
・ 名古屋市などで多くの建設工事現場を訪ねた。愛知用水の見学により良案を得た。
・ 乾燥地研究センターでは、大量に水を消費しないで植物を栽培する方法と灌水の再利用について多くを学ぶことができた。

〔アクションプラン〕
 本コースは半乾燥地における水資源開発に携わってきた私の活動と立場に確信を与えてくれた。そして今後私たちは、水管理には水棲生態系の生物学的・化学的・物理学的相互関連領域の知識が必要であるということ、そしていくつかの措置を取ることにより、人的活動による環境への影響(インパクト)を大規模かつ長期にわたって最小限にくいとめることが可能であることを念頭に置くであろう。

〔結論〕
モーリタニアでは、降雨は一つの季節(3ヶ月)に集中して訪れ、急速に永続的な水の流れに沿って流出し、あとには次の雨季まで焼けつく太陽に晒され、乾いた大地が残される。
水不足により、我が政府は灌漑面積を本来持てる容量以下に制限されている。我が国では人口増加が加速しており、農地の工業への転化、より高まる生活水準により、水への需要が加速度的に増えている。私たちには農業セクターを強化するしっかりとした効果的なプログラムが必要である。しかし、水資源開発にも農業生産の改善を進めるにも、たとえ低コストの技術をもって行ったとしても、その実施には資金が必要であり、我々開発国には概して、資金を持っていない。