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Mr. Abubeker Mohammed FEISSA (エチオピア)

 エテイオピアは総面積1,127,127km2の内陸国で、面積順ではアフリカおよびサブ・サハラ・アフリカの国々で10番目にあたる。人口は5500万人、人口密度は平方キロあたり49人である。
 エテイオピアは赤道付近に位置しているが、台地は穏やかな気候で年間平均気温は16℃である。一方、エテイオピア地溝帯および国境地帯は気温が高い。国全体の年間平均降水量は975mmで、国民一人あたりで換算すると、19,981m3である。
 耕作に適した土地は約65%と推定され、そのうち15%が耕作されている。エテイオピアは、森林総面積の86%を失った。うち77%は過去25年間に失われた。毎年、森林破壊によって10億m3の土壌が侵食されている。これにより、国土の持つ地力、生産力、基盤整備などの可能性が危ぶまれている。
 テイグレイは、国内の同じ問題を共有する14地域の一つで、幾つかの点では他の地域よりも悪い状況にある。
 国土は14の流域に区分され、そのうちの7つは他の地域と流域の境界を接している。灌漑を適用できる可能性のある土地は、3,732,430haでそのうちの161,010ha (4.31%)が開発されているにすぎない。
 このレポートの目的は、問題点を明らかにし、解決方法を求め、その解決方法を実際に指定する地域に試験的に適用し、将来のプロジェクトの適用に資することである。
 エテイオピアの小規模の灌漑および伝統的技法による灌漑の現在の問題点については、文献に残る研究はまだ行われておらず、これらは大規模灌漑の研究開発とは異なる対処が必要である。我々SAERTの主要な事業は、灌漑計画ハードウエアで、組織としては設計と建設部門しかない。
 設計の基礎データは、設計手順および設計部位の基本原理の理解に加えて、計画成功の鍵となるものだ。建設部門においても、建設技術の適正な理解が必要である。建設にあたっては、さらに現場、集落の実状の理解、事業の日程調整、コストの有効性(経済性)、時間管理の原理手法など建設管理についての知識が要求される。
 このコースにおいて、日本国内4県において見学研修が行われた。見学研修に選ばれた現場は、SAERTの現場と比較し、考察を行った。
 コスト削減は質の削減を意味するものではない。それは、開発された灌漑の手法を水利効率向上のために適用するか否か、大容量の貯水施設の需要があるかどうかによって、答えを求めるべきものである。建設機材のコスト管理、量管理は既に決まったものである。人件費の高い先進国では機械の適正な管理が要求される。人力、機械の2つを組み合わせて適用しているエテイオピアでは、人と機械の両面の適正な管理が要求されるのである。
 施設建設にあたっては、量だけでなく、質においても定期的なチェックが必要である。品質の向上のためには、マニュアルおよびデータベースの作成、業務をしっかりした監督のもとで指導し、コンサルタントの助力を借りた研究活動を進めることが必要である。