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Mr. GABI Houcine(モロッコ)
〔序論〕
近年のモロッコ政府の水に関する政策は、輸送性と農業水利施設の設計に焦点を絞って進められており、水質は考慮に入れられていなかった。ゆえに水質関連の問題へ対処する対策が講じられ始めたのは、非常に最近のことである。
農業の開発および強化は地下水汚染の主な要因となっている。しかし既知の通り、地下水質の保全には問題がある。つまり、地下水に通常我々が接触しないために、またたとえ接触ができ、検査を行ったとしても汚染を把握できるのはそれが発生したときのみで、色や外観、味、においが変わったときでしかない。結果として、地下水質の低下はたびたびそれが発見されるまで続くのである。
このような問題は、浄化措置の妨げとなる。地表水の汚濁が発生した場合、どの地域で浄化が必要か特定することは次の措置として直結している。しかし、地下水汚濁の場合、汚濁がどの地域で発生しているのか、目で確認することはできず、どれほどの範囲に問題が波及しているのか目で見ることもできない。問題の範囲が特定できた後も、汚染物質の除去、地下水質の保護はそれがもし可能な場合でもたびたび時間がかかり、コストが高くなる。農地では、農業用殺虫剤、肥料の使用により硝酸塩化合物および有機化学複合成分などが水質汚濁の要因を作り出している。
田舎の地方においても、水質を脅かす要因は農業のみではない。幾つかの地方では、自然の岩や土壌に高レベルの水溶性鉱物(たとえばナトリウム、硝酸塩、塩素化合物など)が含まれている。これらの鉱物は地表面から地下に浸透し、地下水に蓄積される。
幾つかの地域において、地表面の下層にある地質が地下水汚染のリスクに影響を与えている。裂け目、割れ目のある岩が地表の汚染物質に地下水供給路に直接の通り道を作っているのである。砂地も汚染物質を容易に通し、わずかな希釈またはそのままの濃度で地下水にすばやく到達させる。
上記のような理由により、地下水質の改善および保護を遂行するべき課題として、アクションプランのテーマとして取り上げる。アクションの第一歩として、モロッコ最大の灌漑地域および将来の生産拡大の可能性を有する地域にあると同時に、硝酸塩による汚染が最も危ぶまれているタデイア帯水層について考察する。
〔即時アクションプラン〕
・ フィールド調査
・ 下記項目のデータ収集
− タデイア帯水層の水文地質学的特性
− 地下水需要
− 作物の種類
− 肥料の使用
− N(窒素)、P(りん)、K(カリ)濃度測定
− 排水システム
〔中期および長期プラン〕
・ 地下水質および汚染物質の輸送モデリング
・ 帯水層の脆弱性・リスクマップの作成
・ 地下水モニタリング・ネットワークの改善
・ 現地水質検査施設(ラボ)の設備拡充と刷新
・ 肥料使用の削減のための国家戦略の策定(他省庁の参画を含む)およびこのアクションプランの他帯水層への展開
・ 大衆の肥料使用に関する認識の向上・注意の喚起