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Mr. Mohammed KARFAL(モロッコ)

 「淡水の欠乏および誤用は環境の持続的開発および環境保護に深刻な危機感を投げかけ、それは強まる一方である。人類の健康と幸福、食糧の確保、産業の発展と生態系それらすべてのよりどころとなる環境が危機に瀕している。この瀬戸際の状況は我々がこの現行の10年間において、水および土壌資源を過去のそれよりもさらに有効に利用することを可能にしない限り去る事はない。」
  出典:「持続可能性のための灌漑開発計画」
  Rydzewski, j.R. Southampton University S09 5NH (UK)

 多くの国々で、農業・工業・一般行政セクターにおいて高まる水への需要が水資源に関連する問題が深刻な影響を与えている。世界の水利用の約70%を灌漑が占めており、幾つかの開発国ではこの数字はさらに高いと考えられる。現在、水資源の管理者は主に利用可能な水量が供給へのニーズに合致しているかどうか憂慮している。全体の水資源の不足状況が、水利効率の向上と水管理の進んだ手法適用への希求をさらに強調している。
 すべての地域において水をどう有効に使うかについての事業計画の青写真はまだないが、技術と経済政策、法律と水利施設の改善のために最善を尽くすために働いている研究施設すべての力を結集することが今後の課題である。
 乾燥地・半乾燥地では農業の発展は注意深く土と水を管理することに依存している。他の地域で天水農業から灌漑農業への転換が進んでいるのに比し、これらの地域では灌漑農業が多くの問題を呈している。ゆえに、今後この分野の研究・研修がますます求められる。
 本当に広範囲の科目および目標を包含する本研修コースの主眼は、各研修員に特に地球の地表面積の半分以上を占める乾燥地・半乾燥地における水資源開発と環境影響評価の基礎技術を提供することに置かれている。

  区分     降水量/推定蒸発量  年間降水量 (mm)
  極乾燥地   0.05未満     0〜100
  乾燥地    0.05〜0.20  100〜250
  半乾燥地   0.21〜0.50  250〜500
  乾燥亜湿潤地 0.51〜0.65  500〜750
        乾燥地ゾーンの分類(UNEP 1992)

集団コースの研修科目の概要は以下の通りである。
・ 貯水送水施設、施設の管理
・ 灌漑システムの管理
・ 乾燥地に適した作物生産
・ 土壌管理
− 灌漑農業において持続的開発を意図として
− 土壌水分の計測および土壌の水理学的特性の分析
・ 塩分コントロールのための水管理
・ 圃場における土壌水分の移動モデリング
・ 土質および水質の評価
・ 緑地保全・植生の評価
− 乾燥地農業における塩分の問題
− 灌漑水への水の再利用
・ リモートセンシングおよび乾燥地の植生
・ 樹木の成長および栄養学
・ 砂丘の生態系および日本における砂の固定方法
・ コンクリート製水理構造物の劣化評価