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Ms. Nancy Nyaguthii NDIRANGU (Kenya)
 ケニア共和国はアフリカ大陸の東部に位置し、北緯5度40分、南緯4度4分の間に位置し、東経33度50分、41度45分の間に位置している。赤道が国土を2等分して通過している。赤道直下に位置しているが、インド洋沿岸地帯にあること、その変化に富んだ地形、熱帯間集中ゾーン(ITCZ)の動きが要因となって様々な気候が生み出されている。
 基本的に、降雨には2様態ある。すなわち、3月から5月にかけての長雨期間と、10月から12月までの短期降雨期間である。年間平均降雨量は約621mm。降雨分布は不均一で時期・量ともにあてにならない。年間降雨量1000mmから1600mmの地帯すなわち高地、沿岸部ベルト状地帯、ヴィクトリア湖周辺の面積にして全土のわずか20%が生産可能な土地である。残りの80%は、乾燥地・半乾燥地に分類され、いくつかの地域では降雨量は250mmとなっている。
 ケニアの経済の根幹を支えているのは農業であり、60%の外貨獲得率、産業別の国民雇用率でトップにあたり、農業から派生した産業で使われる原材料の70%を供給する国の基幹産業である。
 換金作物の定番とも言える紅茶とコーヒーのほかに、園芸作物も主な輸出品目として成長してきた。
 農業の経済に与える重要性に鑑み、また地表水と降雨の不均等な分布も考え合わせると、持続的かつ効果的な水資源開発の計画、利用計画、品質管理を進めていくことが重要である。
 しかしながら、それには財政の逼迫から適正な技術の不足、衛生的課題の優先順位づけの低さ、実施にあたっての人的施設的両側面での容量の低さ、有効な土地利用が少ないこと、有効な水利および環境政策がなかなか行われないことに至るまで、多くの障害が存在する。
 これらの障害に対処するため、国家レベルの対策がいくつか講じられている。1991年にJICAとともに国全体規模で実施開始している「国家水基本計画(ナショナル・ウオーター・マスタープラン)」、「水法(ウオーター・アクト)」及び「実用計画法(フィジカル・プランニング・アクト)」の改訂、国家環境計画の策定、水消費者協会支持グループ(WUASグループ)の組織化などである。農業の観点から見ると、これらすべての努力が農業セクターの改善と拡大のために行われることが重要である。ゆえに、そしてまた国土のわずか20%が耕作可能とみなされている事を考慮に入れると、国のすべての地域で農業生産を増加させることが食糧確保を進める上において必要となる。つまり、灌漑と土地の開墾をまず当面の課題として焦点を当てることによって、農業のASALSを開発することを意味する。
 私のアクションプランでは、上記のような論点に基づき、前述の課題のいくつかを取り上げ、持続可能な農業と食糧確保の実現のために危機的な状況にあるすべての資源の持続的管理をどう集約していくかを探り、土地、水、財政、施設、社会基盤、サービスの各側面から述べることにする。
 提案内容として、土地および水政策の合理化(簡素化)について、事業実施のための財政的支援要請、スタッフと農業従事者への技術研修、研修施設の強化拡充、すべての水と土地管理政策における環境および自然資源保護の課題、水ロスを最小限にとどめ、生産性を向上させるための農業技術全般および灌漑技術の改善、ASALSの農地利用を目的とした開墾、WUASグループおよび他の集落に拠点を置く管理組織の強化、社会基盤の改善、性の社会的課題などが含まれる。
 結論として、「乾燥地水資源の開発と環境評価」研修コースは非常に有益であり、このコースを通して得た知識と経験は、上記課題解決の目標を達成するために必要不可欠なものであった。なかんずく、水資源管理、土壌管理、効果的な灌漑の手法、乾燥地の開墾と乾燥地に適した作物、自然の植生の保護と(再)緑化、コンピューターによるシュミレーション、リモート・センシング技術などはすべてケニアの置かれている状況に関連性が深い科目である。これらの領域でさらに詳細な知識を獲得できるよう、今後も研修参加および研究活動を続けていきたい。そしてまた、ケニアと日本がお互いの関係性をますます深め、様々なレベルでの協力事業が継続されることを希望する。