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Mr. Angel Reynaldo Rey Garcia(キューバ)

 水の重要性について人間による消費という観点からのみでなく、農業および工業における利用からも強調することは、決して無意味なことではあり得ない。水は生命の源であり、農業用水及び工業用水両部門での水利を効率化することは、緊急課題である。キューバにおいて、水は灌漑、工業用水に幅広く利用され、国家経済の維持発展、国内の農業生産に著しく貢献している。しかしながら、老朽化した設備のため灌漑効率は依然として低く、持続的農業開発への動きに向けて改善が必要である。
 キューバの灌漑農業用地となる可能性を持つ土地の推定面積は、約2,700,000haである。これは水路建設用地、作物栽培に要する潅水量を現在国内で適用している技術による灌漑効率によって計算した数字である。キューバの灌漑開発を進めるためには、灌漑システムの管理と灌漑技術の刷新によって水利効率を上げることが最も重要である。
 現在のキューバの灌漑地域における主な問題点は以下の通りである。
・ 既設の灌漑システムを修理するための資金が乏しい
・ 既設のシステムにおいて灌漑効率が低い
 以上のような理由から、キューバの灌漑システムの改善を実施していくためのアクションプランが必要である。アクションプランは、次の3つに分けて述べていく。すなわち、即時プラン、中期プラン、長期プランである。

[即時プラン]
・ 灌漑排水セクターにおける管理運用技術の近代化を研究し進めること、および近代的かつ先進的な灌漑技術を持った灌漑技術職員の養成を進めること。この重要な計画について、JICAの援助を得られることを切望している。

[中期プラン]
・ 既設のセンター・ピボット式スプリンクラー灌漑システムを従来のスプリンクラー・スプレーにノズルの改良を加えたシステムに変えていくことは、灌漑効率の向上とともに経費節減(経済性)においても好ましく、また配水の統一性を図る意味においても非常に有効である。キューバの灌漑セクターの持続性に対する効果に鑑み、改良型スプレー・ノズルの開発、生産は急務である。
・ 灌漑システムのための新規材料、たとえばマイクロ灌漑(点滴灌漑、またはマイクロ噴霧灌漑)用の改良型のパイプ異形管、エミッター、砂濾過フィルター、メッシュ・フィルターなどの開発を実施しなければならない。
・ 作物生産のため、農業セクターにおける表面灌漑および排水技術の改善、塩分質の土壌の干拓を進めなければならない。我々はまた、表面灌漑手法のサージ・フロー灌漑を開発、導入するべきである。この中には、表面灌漑地域に対して高効率かつ均一な配水を行うための自動弁、パイプ、ノズルの改良実施も含む。

[長期プラン]
・ 老朽化し、荒廃した旧システム、部品交換の際古いポンプと低効率の古いエンジンをしようすること、高燃費−これらのキューバの灌漑セクターにおける問題点について、長期プランに取り上げ、正面から対処しなければならない。立案にあたっては、燃料エンジン交換において電化すること、ポンプと圃場(灌漑適用地域)との連携の改善も含めて考えなければならない。

[結論]  
効率の良い潅水利用、均一性の保たれた配水、良い水管理は持続的灌漑開発のキーポイントである。作物の成長段階および気象条件による蒸発散ロスを考慮に入れて、配水量を修正し、作物ごとに料金を設定し直すこともそれに付随して行わなければならない。作物それぞれの成長段階に応じて、適正な潅水量、適正な料金設定、適正な時機に水を供給すること。ゆえにこれこそが作物の収量を最大限に伸ばし得る方法となるのである。