教員詳細
准教授
曽田 公輔
Kosuke SODA
- 所属
- 共同獣医学科
- 講座
- 応用獣医学
- 教育研究分野
- 獣医感染症学
- 主な担当科目
- 動物感染症学、微生物学実習
研究の概要
山陰地方の地の利を活かした鳥インフルエンザ研究
鳥インフルエンザウイルスは渡りを行うカモやハクチョウなどの水鳥が保有していることが知られています。鳥取県を含む山陰地方は日本国内の中で有数の渡り鳥の越冬地となっており、本ウイルスの研究を行うにあたって最適のフィールドが広がっています。地元で得たサンプルを用いた基礎的な研究に加え、昨今社会的な問題となっている国内の高病原性鳥インフルエンザの診断や疫学調査を各省庁や都道府県と連携して行っています。
湖山池(鳥取市)で越冬しているカモ
鳥取大学湖山キャンパスは広大な湖山池の傍に位置しており、毎年冬になると越冬のためにカモ類が飛来します。継続的に鳥インフルエンザウイルス保有状況調査を行う身近なフィールドとなっています。
主な研究テーマ
高病原性鳥インフルエンザウイルスの家禽および野鳥に対する病原性の検討
1996年ごろから長きに渡り世界的に流行している高病原性鳥インフルエンザの原因ウイルスであるH5亜型ウイルスは、その遺伝子や性状が年々変化してきています。昨今の新型コロナウイルスのヒトにおける重症化率が落ちてきている現象と同様に、各鳥類に対する鳥インフルエンザウイルスの感染性や病原性が変化すると、環境における本ウイルスの動態にも影響が及ぶ可能性があります。その時々に適切な防疫を行うための必要な情報の提供を目指し、研究や診断を通して得られたウイルスの性状を常に追跡しています。
バイオセーフティレベル3実験室においてカモを用いたウイルスの感染実験を行っている様子です。
ベトナムにおける鳥インフルエンザサーベイランス
日本国内では高病原性鳥インフルエンザが流行した際は、適切な防疫処置により毎回撲滅している一方で、継続的に高病原性鳥インフルエンザが発生している国や地域があります。高病原性鳥インフルエンザウイルスは渡り鳥により運ばれていると考えられており、国外のウイルスの流行状況を把握することは、結果的に国内の鳥インフルエンザ防疫においても有用な情報となります。当研究室では継続的にベトナムで鳥インフルエンザサーベイランスを実施し、ウイルスの流行状況を調べています。
ベトナムの街角の生鳥市場の様子。このような家禽の流通形態が鳥インフルエンザウイルスの維持や拡大に関係していると考えられています。
山陰地方における鳥インフルエンザウイルスサーベイランス
上述の鳥取大学近辺の湖山池に加え、山陰地方には冬季に渡り鳥であるカモやハクチョウ類が越冬するポイントが数多くあります。自然宿主 (もともとウイルスを有している動物のこと) であるこれら渡り鳥が、どのような鳥インフルエンザウイルスを保有しているのか継続的に調べています。昨今は高病原性の鳥インフルエンザウイルスが検出される事例も認められており、一早く情報公開することにより鳥類を飼育する農場に注意喚起できるよう努めています。