教員詳細
教授
山口 剛士
Tsuyoshi YAMAGUCHI
- 所属
- 共同獣医学科
- 講座
- 応用獣医学
- 教育研究分野
- 獣医衛生学教育研究分野
- 主な担当科目
- 動物衛生学 家禽疾病学
研究の概要
動物感染症の制御を通し人類と動物の福祉に貢献する
高病原性鳥インフルエンザや豚熱などの感染症が国内でも多発し、産業に甚大な被害を与えています。このような感染症の発生を未然に防ぐには、病原体に応じた適切な対策が必要です。そのためには、病原体のそれぞれの性質や感染経路、野外での生態解明が必要です。このため、特に高病原性鳥インフルエンザを中心に家禽や野生動物、環境サンプルからのウイルス分離や遺伝子検出、農場に侵入する野生動物の調査研究を行っています。
動物感染症制御のために
感染症の効果的制御には、原因となる病原ウイルスの性質を正しく理解することが必要です。目に見えない病原体による感染症の発生を未然に防ぐため、マクロな視点で活動しています。
主な研究テーマ
高病原性鳥インフルエンザウイルスの農場内侵入経路の解明
養鶏場での高病原性鳥インフルエンザ発生を未然に防ぐには、外部から養鶏場へのウイルス侵入を防がなければなりません。そのためには、外部からのウイルス侵入経路の解明が必須です。そこで養鶏場に自動撮影カメラを設置し、農場内に侵入する野生動物を調査するとともに、実験的に野生動物によるウイルス伝播の可能性を検証しています。得られた成績は農場での衛生対策に活用されています。
農場に侵入した野生動物感染症の発生を未然に防ぐため農場内に自動撮影カメラを設置、夜間に侵入する野生動物の行動を記録し、その実態解明を進めています。
野鳥の高病原性鳥インフルエンザウイルス感染に関する研究
高病原性鳥インフルエンザウイルスは多くの場合、秋に大陸から渡ってくるカモなどにより国内に持ち込まれると考えられています。このためどんな野鳥がどのくらいウイルスに感染しているのかを明らかにすることは、家禽での本病発生の予防にとても重要です。そこで、国内の野鳥の糞便や死体からウイルスやウイルス遺伝子を検出し、その遺伝子を解析することでウイルスの起源や病原性、ヒトへの感染性などを調べています。また、野鳥における過去の感染状況を明らかにするため、高病原性鳥インフルエンザウイルスに対する抗体調査を行っています。
水鳥渡来地での調査水鳥渡来地で採取した糞便は実験室に持ち帰り、発育鶏卵で分離します。分離されたウイルスは全遺伝子の配列を解読し、分子系統解析による起源解明や病原性解析などを行います。
野外環境水からの遺伝子検出による病原ウイルスの生態解明
家畜や野生動物に病気を起こす様々なウイルスが野外でどのように存在し、宿主となる動物の間でどのように感染を維持しているのか、ウイルス達の生態を明らかにすることは感染症を制御するためにとても重要です。そこで溜め池や野生動物が集まるヌタ場などから環境水を採取し、多様なウイルス遺伝子を網羅的に検出すると共に、環境水から動物由来遺伝子を検出しウイルスの宿主となる動物種を明らかにすることで、ウイルスの生態解明に取り組んでいます。