鳥取大学農学部 Faculty of Agriculture, Tottori University

教員詳細

准教授

山中 啓介

Keisuke YAMANAKA

所属
附属フィールドサイエンスセンター
担当教育コース
里地里山環境管理学
教育研究分野
育林学
主な担当科目
造林学Ⅰ,造林学Ⅱ,森林管理学
研究に関連する高校教科

研究の概要

人間を含めた生物の生存に不可欠な森林を,健全に育成する。

森林は水資源の維持,土砂崩壊の防止といった機能に加え,様々な生物の生息場所にもなるなど重要な役割を果たしています。また,森林から生産される木材は,生育過程で二酸化炭素を吸収するなど環境への負荷が少ない資源です。このような森林からの恩恵を継続的に享受するためには,森林が健全な状態でなければなりません。まずは,森林の仕組みを深く理解し,健全な森林を維持する管理方法を探求します。

循環利用することができる森林資源

森林の木々は大気中の二酸化炭素を吸収するので,木材は二酸化炭素の「かたまり」と考えることができます。そして,伐採跡地に再び植栽することで木材の循環利用が可能になります。

主な研究テーマ

海岸砂丘地における広葉樹による松くい虫被害跡地の再生

我が国の海岸砂丘地は防風や飛砂防備といった目的で乾燥などに強いクロマツが植栽されてきました。ところが,松くい虫被害で枯損が進み,跡地の再生が課題となっています。再び松くい虫被害を受けることを回避するため,広葉樹で海岸林を再生する考えもありますが,クロマツと比較して広葉樹は乾燥に弱く,成長が遅いといった課題があります。我々の研究室では,海岸砂丘地でも生育可能な広葉樹を探索するとともに,高温,乾燥条件にある海岸砂丘地でも広葉樹を植栽,育成する技術について研究しています。そして,海岸砂丘地の松くい虫被害跡地を早期に,確実に再生する技術の開発を目指しています。

海岸砂丘地の松くい虫被害跡地で健全に生育している広葉樹を調査し,植栽に適した広葉樹を探索しています。

荒廃森林の再生技術

我が国は人々が造成したスギやヒノキの人工林や,天然林などが国土の約70%を占める森林国家です。森林は木材供給だけでなく水源のかん養や土砂崩壊防止機能,二酸化炭素の吸収など様々な機能を持っています。これらの機能は森林が健全な状態であることで発揮されますが,人工林の管理放棄や自然災害によって森林が荒廃する場合もあります。荒廃森林は再生する必要がありますが,予算,人員,再生に要する時間など様々な制約があり,効果的な再生技術が求められています。我々の研究室では荒廃した森林の再生に向け,被害実態を把握し,再生技術に関する研究を行っています。そして,荒廃人工林の再生に貢献することを目指しています。

雪害を受けたアカマツの被害調査。被害実態の把握は再生への第一歩です。

人工林伐採跡地の再生技術

戦後に植栽されたスギ,ヒノキの人工林が利用期を迎え,毎年各地の人工林が伐採されて木材資源を供給しています。伐採跡地に再び植栽して再生することが,森林の循環利用という観点から不可欠になっています。ところが,近年では再生コストが捻出できず,伐採跡地が放置される懸念があります。我々の研究室では様々な機械の組み合わせ,既存作業における過剰や不要になる部分の抽出といった現場を重視した研究を展開し,人工林の効率的な再生手法の開発を目指しています。

植栽木をすべて伐採せずに一定量を切り残す「択伐」は,地表に到達する光が減少するので下刈りの軽減が期待されます。

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