教員詳細
講師
木原 奈穂子
Nahoko KIHARA
- 所属
- 生命環境農学科
- 担当教育コース
- 里地里山環境管理学
- 教育研究分野
- アグリビジネス会計学
- 主な担当科目
- 簿記論、会計学、マーケテイング論
- 研究に関連する高校教科
研究の概要
農業・農村を対象とした会計学を確立し,社会全体での実践を図る
農業経営や農村の活動の価値は、企業活動と同じく「お金」を基準に測られます。いかに収益性を向上させるかが農業経営の課題であり、防災や田園風景の維持を担う農地をいかに効率よく管理するかが農村の課題です。すなわち、農業・農村の活性化はお金をどのように流出入させるか(それを誰が担うか)にかかっているといっても過言ではなく、そのような流出入をどのように行うのが良いのかを、実践・研究しています。
農村地域での調査風景
フィールドワークが調査の基礎です。農家や農村地域で活動する人を対象に聞き取り調査やアンケート調査を行い、その結果を元に分析・考察します。
主な研究テーマ
コミュニティ会計の開発と普及
多くの農村地域では共同活動が行われており、その大半が住民による非営利の活動です。人口減少や過疎化・高齢化の中で、このような非営利かつ共同での活動は担い手不足という課題を抱えており、継続が困難になりつつあります。活動を評価する会計手法が確立していないことも、共同活動の組織化を阻む一つの原因です。農村地域の活動を正しく評価し、誰もが参画しやすい組織づくりに寄与する会計手法の確立と普及の方法を研究しています。
とある地域内の活動組織がそれぞれどのようにして会計を行っているかを明らかにしています。この結果を踏まえ、誰もが使いやすい会計手法の検討を行います。
畦畔管理システムの構築
畦畔は農地を区切り、湛水するために作られています。人が歩くための小道として、また農作業の間の休憩の場としても、役割を発揮してきました。このような畦畔の多くは、土や石で形成され、そこに雑草が生えることで維持されており、害虫防除のため農家が丁寧に草刈りを行ってきました。しかし、農業従事者の高齢化や農業経営の大規模化に伴い、草刈りのような畦畔管理の担い手が不足し、雑草が繁茂し害獣が侵入しやすくなったり景観を損なったりするという問題が各地で発生しています。このような問題の解決に向けて、多様な人材が畦畔管理に取り組む仕組みを検討しています。
地域内の有志で草刈り組織を作り、技術を伝承しています。新たな人材の確保・育成につながる事例も見られます。
通い型集落継承モデルの実証研究
多くの農村地域では、人口流出と高齢化に伴う集落機能の低下を防ぐため、移住・定住施策が展開されてきましたが、この背景には集落や地域コミュニティに移住者や定住者を受け入れる機能が備わっていることがあると考えられます。そこで、大学地域連携の一環として特定の地域で学生を受け入れてもらい、通いながら地域行事に関わることで、このような「通い人材」が集落や地域コミュニティにどのような影響を与えるかを参与観察し、外部人材の受け入れに必要な機能を実証的に検討しています。