鳥取大学農学部 Faculty of Agriculture, Tottori University

教員詳細

教授

小玉 芳敬

Yoshinori KODAMA

所属
生命環境農学科
担当教育コース
里地里山環境管理学
教育研究分野
地形学
主な担当科目
流域地形学・流域システム演習I・自然災害論
研究に関連する高校教科

研究の概要

大地の形(地形)に記録されたことを野外から教えてもらおう。

大学で「地形学」と「地形を愛する師匠」に出会えて幸せでした。地圏・水圏・大気圏・生物圏の全てを含めた地球環境システムを学ぶことで、人類は謙虚になれます。地形には多くのことが記録されています。野外で地形に真摯に向き合えば、地形が多くのことを教えてくれます。今後も地形と対話する術を磨いていきたいと思います。

降雨を伴う強風後の鳥取砂丘に見られる縞模様景観

細砂が風で運ばれて形成された砂丘では、多くも美しい景観に出会えます。降雨後の強風時に飛砂量が抑えられた条件で観察される波長5~40 mの縞模様景観は、その成因を加味して風成横列シートと命名されました。 

主な研究テーマ

鳥取砂丘のあらゆる地学現象

地形変化が極めて激しい鳥取砂丘は、研究テーマの宝庫です。微地形や砂丘列(小地形)の成因から、砂丘で起こる自然環境的課題(「存続の危機にある追後スリバチ」や「植生マウンドと火山灰層の露出」など)、そして千代川流域まで視野に入れた砂収支から探る鳥取砂丘の成立史まで、多角的に地学現象の理解を深める取り組みを続けています。

鳥取砂丘の成立史を物語る南北推定断面(小玉,2022より) 地質ボーリング調査による地下断面と千代川の掃流砂量から推定した砂丘列の重なりを描いた図で、鳥取砂丘の形成が海洋酸素同位体ステージ7(MIS7,24万年~19万年前)に始まったとの仮説が生まれた。

伯耆大山の土砂移動と地形の成り立ち

第四紀の火山である伯耆大山は、活動期間の長い火山で山麓に雄大な裾野が広がる。火砕流が作った地形面やそれらを侵食した谷地形の中には段丘面が残されている。それらの地形に潜むルールを探している。たとえば南壁から生産される土砂を流す一ノ沢~三ノ沢では傾斜11°の区間から傾斜8°の区間に途中で渓流の勾配が急変する。このようなルールを見つけ出し、その原因を解明することで、普遍的な法則性を見いだそうとしている。

伯耆大山三ノ沢における土砂流出の実態1998年9月16日の夜中に降った豪雨により、三ノ沢で一晩のうちに環状道路に土砂が押し出した景観。この傾斜が11°であった。前日にはこの環状道路を車で通過していた。

三朝町小鹿川流域における地形研究

鳥取県中部にある小鹿川流域(流域面積:42.5 km2,流路長:16.2 km)には、名勝小鹿渓を挟んで、上流側に中津の前輪廻地形があり、北隣の河内川流域により分水界が南方に移動してきた様子が風隙地形に記録されており、そのひとつにミツガシワの湿地が位置する。また下流側には大規模深層崩壊に伴う天然ダムの形成とその決壊を記録した段丘状地形が残されている。花崗岩からなる名勝小鹿渓では、岩盤侵食河川の渓床縦断形勾配が河相に応じて明確な階層性を示すことが示され、河床や渓岸の粗度が流砂に強い影響を及ぼしていることを反映した動的平衡勾配として縦断形が成り立っている。

小鹿渓谷に見られる巨礫の集積区間の景観(下流を見て撮影) 全長3 km弱の小鹿渓には、斜面崩壊により沢から流出した径2mを超える巨大な礫の集積した区間が3箇所に認められ、これらの区間の渓床勾配はいずれも0.08を示す。また径1m以細の礫がアーチ状に集まり瀬をなし、その下流側が淵となる瀬淵河床区間が3箇所に認められ、これらの渓床勾配は0.04-0.05を示す。出水時には人頭大以細の岩屑が渓流を流下する。写真のような巨礫の集積帯は粗度のために流砂効率が落ちることは容易に想像できる。この流砂効率の低減を補うように渓流の勾配は調整され、流砂が滞ることなくスムーズに流れている。

オプション

文字サイズ

  • 標準

文字色/背景色

  • 標準
  • 白/黒
  • 黄/青