鳥取大学農学部 Faculty of Agriculture, Tottori University

教員詳細

准教授

齊藤 忠臣

Tadaomi SAITO

所属
生命環境農学科
担当教育コース
国際乾燥地農学
教育研究分野
地圏環境保全学分野
主な担当科目
土質理工学,国際乾燥地農学実験Ⅳ,ディスカッション演習
研究に関連する高校教科

研究の概要

国内の湿潤地から海外の乾燥地まで「水・土・緑」を幅広く研究

専門分野は「土壌物理・水文」で,土壌中の水や養分・汚染物質の移動の観測・解析,新しい計測技術の開発などを中心に研究をしています.また,土・水と植物との関りにも興味があり,計測機器や同位体分析を用いた植物の水利用特性の解明などにも取り組んでいます.他にも,面白そうなテーマや装置があるとすぐに飛びつく傾向があり,ドローン(UAV)を用いた地形・植生のモニタリングや,VRシステムの作成なども行っています.

国内外での研究・教育活動の様子

国外では乾燥地を中心としたアジア・アフリカ・南北アメリカの国々で,国内では鳥取砂丘を中心に研究・教育活動をしています

主な研究テーマ

GPS/GNSS衛星信号を用いた土壌水分推定手法の開発

土壌水分は農業分野ではもちろんのこと,気候・防災など多くの分野においても非常に重要な環境要素の一つです.私たちはスマートフォンやカーナビにも搭載され,世界中で普及が進むGPS/GNSSアンテナを使って土壌水分を面的に推定するという,新しい手法の開発に取り組んでいます.地球の周りを周回するGPS/GNSS衛星から発信される信号には,アンテナに直接到達する直接波以外に間接波(地表面反射波/ノイズ)が含まれます.位置情報の取得には邪魔となるノイズですが,このノイズは地表面反射時に水分の影響を受けるため,これを解析することによって土壌水分を推定するという試みです.将来的な途上国での普及も考え,安価な信号受信装置の構築,データ抽出システムの作成,解析プログラムの開発などを行っています.

あなたのスマホやカーナビが土壌水分計に?衛星信号のノイズから土壌水分を予測する取り組みです

センサ群を用いた樹木の水利用特性の解明

植物はそれぞれに独自の水利用戦略を持ち,土壌から水を吸収し,葉から蒸散して成長しますが,「いつ,どこから,どのように水を使うか」というメカニズムには未解明点も多くあります.私たちは国内外の樹木や果樹を対象に,あらゆる物理センサを設置して水分状態指標をリアルタイムでモニタリングすることにより,その水利用特性の解明を試みています.具体的計測している項目は,「樹体内の水分・溶質量」「樹液の流速」「葉の膨圧」「幹直径の微細変動」など多岐にわたります.また,こういった水分状態指標が水ストレス等の環境条件にどのように応答するかを調べることで,センサを利用したスマート農業,適切な灌漑スケジューリングや高品質な果樹生産につなげたいと考えています.

スーダンやアメリカの侵入種(メスキート・タマリスク)や国内の常緑樹(ダブノキ・シラカシ),果樹(ニホンナシ)の幹・枝・葉に様々なセンサを取り付けて水・養分の動きやストレスへの応答を観測してます

ドローン(UAV)を用いた鳥取砂丘の地形・植生のモニタリングとVRシステムの開発

鳥取砂丘は鳥取が世界に誇る観光資源で,国立公園の特別保護地区,世界ジオパークネットワークの一部として,貴重な動植物や地形・地質を有しています.しかし,人気の観光地であるがゆえに多くの人為的攪乱を受けるほか,近年の砂移動の激化や外来の植生の侵入といった問題を抱えています.本研究室ではSfMという3次元復元技術を用いて,ドローン(UAV)の空撮画像を元に砂丘の高精度3次元モデルを作成し,これを砂移動の解析や植生のモニタリングに利用しています.さらに,この3次元モデルを用いて,3Dプリンタでの印刷による砂丘のジオラマ作成や,広大で起伏に富む鳥取砂丘を自由に移動可能なVRシステムを構築も行っています.

ドローンからの空撮画像を利用した砂移動解析・ジオラマ作成・VRシステム構築の様子

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