教員詳細
教授
清水 克之
Katsuyuki SHIMIZU
研究の概要
農村地域における望ましい治水・利水とは何かを探求し続ける
人間の歴史は治水と利水の歴史と言えます。場所や時代によって異なる,降水などの気象条件,土地利用状況や社会経済的状況を踏まえて望ましい治水対策・利水計画について探求し続けます。特に,利水に関しては世界の水利用量の7割を占める農業用水の管理の効率,公平性の点に着目した調査研究を行います。
水の賢い使い方を現場での観測を通して探求する
水の使い方を理解するためには,水位や流量の観測を通して定量的に理解(実態把握)し,条件が変わるとどうなるかシミュレーションを通して予測します。ため池や水路だけでなく,水田の水深や地下水位の変動を観測することもあります。
主な研究テーマ
防災・減災を考慮したため池の水管理に関する研究
ため池は,雨だけでは稲作ができず,近くに河川などの水源がない地域で,谷筋に堤防を築いて水田に灌漑水を供給する施設です。しかし,近年豪雨によるため池の氾濫・決壊のニュースをよく目にします。ため池の利水としての機能を損なうことなく,氾濫・決壊するリスクを下げるためにため池の水位管理をどのようにしたらよいかについて考えるために,現地調査や豪雨が起こった時にため池の水位がどのように変動するかをシミュレーションによる分析を行います。
ため池直下の水路での流量観測の様子
流域治水に関する研究
「農業が治水にどの程度貢献できるのか?」,「実現可能な具体的な対策」を明らかにするために,ため池や水田に着目した洪水緩和対策に関する調査研究を行っています。ため池の水位を低く保ち,空き容量を確保したり,水田の貯留機能を強化したりすることでどの程度洪水緩和が見込めるかを現地調査やシミュレーションにより分析します。
水田の畔の高さを測量している様子
持続的な農業用水管理に関する研究
「望ましい農業用水の管理とはどうあるべきか?」について国内外を問わず様々な国や地域を対象に探求しています。そのためにはまず,誰がどのように意思決定をして実際に管理しているのかを理解し,それを適切に評価する必要があります。そのために,水管理実態のモニタリングとそれを定量的に評価する手法の開発を行っています。流量観測やシミュレーションといった工学的な手法だけでなく,水管理者や農家への聞き取り調査などの社会科学的な手法でそれらに取り組んでいます。