教員詳細
准教授
山崎 由理
Yamazaki YURI
- 所属
- 生命環境農学科
- 担当教育コース
- 国際乾燥地農学
- 教育研究分野
- 水圏環境科学分野
- 主な担当科目
- 水理学
- 研究に関連する高校教科
研究の概要
環境と調和した持続可能な農業の姿を探求する
水は地球上のあらゆる生物が生きていくために必要不可欠な資源です。また、農業は人間が(家畜や愛玩動物なども)生きていくための食べ物を生産する重要な産業です。しかし、農業はやり方によっては水を必要以上に使い、水質を悪化させてしまう側面を持っています。自分たちの将来、そして次世代にも地球の大地で収穫された美味しい農作物を食べてもらうために、地球環境と調和できる営農管理とは何かを考えています。
最近、川に入ったの、いつですか?
環境問題って遠く離れた世界のお話のように感じてしまうことがあります。しかし、「家の近くの川をきれいにしよう」というのが、環境問題を考える最初の1歩だと思います。皆さんごはん毎日食べますよね?だから、自分の家が農家じゃなくても、近くに田んぼや畑がなくても、農業はとても身近なもののはずなんです。まずは、自分の生活のそばにある「環境」や「農業」を見に行って、将来の農業や環境ってなんだろうって考えてみませんか?
主な研究テーマ
農業地域における水圏の窒素汚染に関する研究
プラネタリー・バウンダリーという考え方をご存じですか? 9つの項目に対して地球の限界を示した概念です。このとき、「窒素」は地球のシステムの限界をすでに超えていると評価されています。さらに、窒素汚染の原因には農業が多くの割合を占めることが警鐘されているのです。人工的に合成される窒素肥料によって生産される作物は、いまや地球の人口の半分を支えているといわれています。一方で、たくさん施肥をしても、作物は窒素を利用することができず、余った窒素は地下水や河川などに排出されてしまう性質があります。河川の水質調査を通して、地域の健康診断をするとともに、窒素汚染を抑制するための対策を検討しています。
河川の調査にて。休憩中です。水質調査にもいろいろな方法がありますが、こちらは、川に直接入って調査をした日の休憩時間。研究室で水質分析をするのもとても大事な仕事なのですが、こんなふうに川に入ると、きれいな川はいいなあと実感できます。
周年林間放牧による環境影響評価に関する研究
みなさん、お肉好きですか?スーパーでお肉を買うとき、国産か外国産かを確認する人は増えてきたのではないかと思います。でも、そのお肉が「どんな環境で何を食べて育ったか」までは気にしていない人がほとんどではないでしょうか?家畜の生産には飼料給与が不可欠ですが、日本ではたんぱく質を多く含む濃厚飼料のほとんどを輸入に依存しています。国産飼料での家畜生産を可能とする管理方法のひとつに「放牧畜産」が挙げられます。実は、日本では放牧畜産は家畜生産の中で少数派なのです。アニマルウェルフェアを含めいろいろな可能性を秘める放牧畜産について、自然環境への良い効果/悪い影響を調査しています。
放牧牛と私。自然の中で、ほとんど野生状態で飼育されている牛たちです。放牧地の草を自由に食べて大きくなります。日本ではマイナな放牧畜産ですが、人間ではなく「牛がつくる環境」があるなと感じています。お肉の味だけではなくて、家畜の「生きた時間」にもそろそろ注目していく時代ではないでしょうか?
ドローンを用いたため池・水路の測量や作物の生育診断
ダムやため池にどのくらいの水を貯めることができるか、どうやって計算していると思いますか?ここ数年、水による災害が毎年のように国内のどこかで発生しています。このとき、西日本に多く分布するため池は、老朽化などに伴う決壊等による災害の発生が懸念されています。一方、農業用水を貯水するため池本来の機能を応用して、台風や豪雨時の雨を貯留することで、下流域の洪水被害を防ぐ防災・減災施設としての利活用も注目されています。ため池の貯水可能量の計算には、ため池の形状把握が必要ですが、ため池にボートを浮かべて測量するのはとても大変な作業です。ドローンを用いた安価かつ簡易なため池測量の方法を検討しています。