鳥取大学農学部 Faculty of Agriculture, Tottori University

教員詳細

教授

山本 定博

Sadahiro YAMAMOTO

所属
生命環境農学科
担当教育コース
国際乾燥地農学
教育研究分野
環境土壌学
主な担当科目
土壌学概論,土壌生成資源学
研究に関連する高校教科

研究の概要

地球の生命と環境の基盤である土壌の適切かつ持続的な利用と保全

土壌は地球上の環境と生命の基盤であり,私たちは土壌に育てられ,土壌と共に生きています.この関係は遠い昔から,現在,そして未来でも変わりません.しかし,現在,人間がかける圧力により土壌は劣化の一途をたどっています.私たちは,前世代から受け継いだこの貴重な資源をより良い状態にして,次世代に引き渡さなければいけません.Save Our Soils! をモットーに,土壌を健全に維持するための適切な利用や管理について研究しています.

たかだか20cm足らずの厚みの表土に支えられている地球の生命と環境

表土を劣化させないように健全に維持するためには,注意深い管理が必要です.これは,持続可能な農業,食料生産に必須であるとともに,気候調節の手段,生態系サービスや生物多様性を保護する重要な筋道にもなります.私たちが土壌を守れば,土壌は私たちを守ってくれます.

主な研究テーマ

乾燥地の灌漑農地を守る!乾燥地の灌漑農地の土壌塩類化対策と持続的利用

乾燥地の灌漑農地は世界の食料生産を支える重要な農地ですが,不適切な管理によって土壌の塩類化が進行し,食料生産能が著しく低下するとともに,多くの農地が不毛化し放棄されています.今後,急増する人口を賄う十分な量の食料を確保するためには,持続可能な灌漑農業の実現が必須です.そのための,基礎的な研究を研究室から現地レベルで展開しています.具体的には,土壌塩類化のメカニズム(とくに土壌ソーダ質化)の解明,塩類化のメカニズムに基づいた土壌塩類化の診断と危険性評価,そして診断結果に基づいた改良,さらに環境への栄養塩負荷を軽減する管理などをおこなっています.

塩性ソーダ質化により耕作放棄された灌漑農地(カザフスタン).表層に集積する塩類は土壌の下層から水と共に上昇してきます.そのため,塩類化のメカニズムを明らかにするために,深く穴を掘って土壌断面をつくり,塩類や水の動きと土壌特性との関連性を詳細に検討します.

土壌と環境を守る! 環境に優しい農業を支援する技術の開発

農業は地球の生態系改変の主因であり,地域レベルから地球規模で環境に極めて大きな影響を与えています.たとえば,過剰な施肥や家畜ふん堆肥の施用によって,土壌が養分過多の状態になり,結果として窒素やリンが農地から大量に流出して水圏や地下水(貴重な飲料水)の汚染を引き起こしています.不適切な肥培管理や堆肥の施与で,土壌が劣化し,環境も汚染しているのです.このような課題に対して,農地からの窒素やリンの流亡の実態と流亡抑制対策,土づくり資材として重要な家畜ふん堆肥の品質評価と適切な利用法について研究しています.また,さまざまな廃棄物から有用な土壌改良資材を作り,効果的に利用することも研究しています.

ひとくちに牛ふん堆肥といても,肥料的効果の大小,肥効の期間,また,化学肥料との併用効果等その効果は多様です.従来の化学分析結果だけではわからない堆肥の特性や効果が,植物の生育にもとづいて判定すること(幼植物試験)で,実際の圃場での利用効果を確認できるようになります.

土壌と地域を守る! 地域の農地や農業生産現場の課題に応え,地域の活性化を図る.

土壌の特性や管理に原因があると思われる農産物の障害の原因解明と対策(野菜産地が直面する土壌由来の生理障害対策),おいしいお米が生産される水田の土壌にはどのような特徴があるのか(高付加価値農産物を生産できる土壌条件の解明),農地の非生産部分である畦畔部分(いわゆる畔)の草刈りを省力化できないか,等々,現場の土壌や農家が抱える様々な問題に対して様々な手法で取り組んでいます.これらの課題に応えることで,地域の土壌が守られ,ひいては地域の農業が活性化し,地域の持続性を高め,あかるい未来つながると期待しています.

農地の畦畔の雑草管理は,日本の農業のアキレス腱ともいえる深刻,かつ重要な問題です.この問題に対して,農地の畔を被覆植物でカバーして雑草が生えにくい状態にする畦畔緑化の方法を検討しています.畔の土壌特性を調節することがこの工法のポイントです!畦畔管理が省力化することで,生産者は,土壌管理にしっかり向き合えるようになります.

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