本研究課題は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センターの2019年度「イノベーション創出強化研究推進事業」に採択されたものです。本事業は、従来の常識を覆す革新的な技術・商品・サービスを生み出していくイノベーションの創出に向け、「知」の集積と活用の場による研究開発を重点的に推進する提案公募型の研究開発事業であり、本研究課題は2021年度までの3年間実施されます。
研究概要
本研究課題は、国内の果樹生産が安定して行えるよう、受粉用の国産花粉の安定供給システムの開発を目的としています。国内で生産されている多くの果物は、自身の花粉による受粉では結実しない機構をもっているため、他品種の花粉を使っての人工受粉が必須となっています。
一方、受粉に使用する花粉の多くは海外からの輸入に頼っており、「価格高騰」、「供給体制の不安定化」など多くの問題が挙げられています。さらに、花粉からの「重要病害の進入」というリスクも抱えており、輸入停止時には国内での果樹生産ができなくなるため、国産花粉の安定供給システムの開発は急務とされています。
そこで本研究課題では、『花粉の輸入停止時における緊急対応技術の開発・実装化』として、国内の生産者が花粉採取作業を効率的に行い、受粉に使用する花粉量を削減する技術を開発します。これと同時に、『国産花粉ビジネス実現のための安定供給システム』の開発として、花蕾を一斉に採取する自走式の大型機械を開発するとともに、輸入花粉より安全で付加価値の高い国産花粉の供給体制を強化していきます。
研究統括者 竹村圭弘(鳥取大学農学部)