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鳥取大学農学部 生命環境農学科

TEL.

〒680-8550 鳥取県鳥取市湖山町南4丁目101番地

研究内容NEWS&FAQ

ニホンナシの自発休眠機構の解明と新品種の育成

 ニホンナシをはじめとする落葉果樹の芽は、冬季に一定量の低温に遭遇しなければ翌春に発芽することが出来ません(写真)。近年の温暖化の影響により、世界の低緯度地域ならびに日本の西南暖地では、低温遭遇量の不足による発芽不良が多発しており、ニホンナシの栽培が困難になっています。本研究室では、自発休眠の生理・生化学的な機構解明を進めると同時に、低温要求量の少ない新品種の育成ならびに選抜マーカーの開発を行っています。これと同時に、人為的な打破処理技術の確立も行っています。


低温(5℃)および中温(15℃)処理がナシの発芽に及ぼす影響

低温発芽性を有する花粉の選抜と生理機構の解明

 多くの果樹では春季に人工受粉を行いますが、温暖化に伴う早期の開花時には受粉に適さない日(日中の気温が低い日)に遭遇することが多くなり、結実不良の一因となっています。その要因としては、低温時に受粉した花粉の発芽率の低下が挙げられています。本研究室では、学内の附属大塚農場に栽植されている遺伝資源を有効に活用し、低温発芽性を有する受粉樹を選抜するとともに、それらの花粉が持つ特性ならびに発芽・結実の生理機講の解明を行っています。
 
 ナシ花粉の発芽に及ぼす温度感応性の違い(10℃処理区) (左)‘長十郎’,(右)Pyrus communis L

 

ニホンナシ果実の肉質の品種間差異と果肉細胞壁成分に関する研究

 ナシ属植物の果肉には、リグニンを多く含む石細胞が存在するため、そのザラついた食感が品質を低下させる原因となっています。ニホンナシの場合、品種によって肉質が大きく異なりますが、その原因として果肉硬度および石細胞密度の関与が指摘されているものの、詳細については分かっていません。本研究室では、ニホンナシ果実の肉質の品種間差異の原因を明らかにするとともに、果肉硬度と果肉細胞壁成分との関係ならびに石細胞の形態的な特性についての調査を行っています。
 
 ニホンナシ‘瑞秋’の果肉組織の変化 (左)成熟前,(右)成熟期

EOD技術を活用した省エネルギー栽培方法の確立と生育促進機構の解明

 日本海沿岸などの冬季寡日照地域では、園芸作物の生育不良と加温栽培時の暖房費の負担額増加が大きな問題となっています。このような諸問題を解決するため、花き類では日没直後(End of day:EOD)の短時間に加温や遠赤色光の照射処理が行われており、燃料使用量の大幅な削減と生育促進や品質向上効果が確認されています。その一方で、生育促進の生理的機講については不明な点が多く、数種類の花き類以外では栽培方法が確立されていません。本研究室では、EOD処理時のストックならびにイチゴ等の反応性を評価するとともに、省エネルギー栽培方法の確立と生育促進機構の解明を行っています。


EOD-FR処理がトルコギキョウの初期成育に及ぼす影響 (左)無処理区,(右)EOD-FR処理区



リンドウの花色に関する遺伝様式の解明と新品種の育成

 リンドウは日本における主要花き品目の一つですが、象徴する鮮やかな青花は盆や彼岸の仏花としてのイメージが強く、利用用途を狭める要因となっています。そのため、育種目標としては花色が重要形質の一つとして挙げられており、系統選抜や種内および種間の雑種交配を中心に育種が行われています。近年では、ピンク花や白花、複色の品種も開発されており、利用拡大も期待されていますが、花色決定の機講については不明な点が多く、自殖弱勢が顕著なリンドウにおいては固定も困難となっています。本研究室では、リンドウの花色決定の遺伝様式を明らかにするとともに新品種の育成を行っています。


リンドウの花色変異個体の一例





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